雪山用登山靴の違いと選び方|冬山を歩くために
雪山を始めるためには、寒さに対応した登山靴が必要です。
どんな登山靴があるのか、違いや選び方をご紹介します
雪山用登山靴とトレッキングシューズの違い・選び方
まず、雪山用の登山靴というものが、夏山用のトレッキングシューズとどう違うかを説明します。
通気性重視のトレッキングシューズ・保温性重視の雪山登山靴
暖かさということでいえば、トレッキングシューズよりも保温性が高いのが雪山用の登山靴です。メッシュのナイロン等を使ったトレッキングシューズに比べ、概ね厚みのある革の登山靴が主流です。最近ではプラスチック素材や保温耐久力のある化繊素材のモデルもあります。
シューズにより対応外気温度が違いますので、メーカーの公表値を参考にしてください。
ただし、適応温度は、主観でかなり違いがありますのであくまで参考に。冷え性体質や寒がりの人は余計に温かいモデルのほうが安心です。
重登山靴とは?|雪山重登山靴
ライトトレッキングシューズという呼び方がありますが、雪山用の登山靴は重登山靴と呼ばれています。
これは「重い」という意味よりも、登山靴の硬さで見分けるほうが賢明です。
通常登山靴は歩きやすいようにつま先側のソールが曲がります。
手で押し当ててもクニャリ♪って曲がりますよね。
重登山靴は、ミッドソールの中にシャンクと呼ばれる硬い素材が入っていて、曲がりません。アイゼンがきちんと装着できるためです。
だから通常の登山道なんかはすごく歩きにくいのです。
トレッキングシューズは曲がります
アイゼンが装着できる仕様|バインディング溝
通称コバと言っていますが、雪山用登山靴には、ワンタッチアイゼンのバインディング(ビンディング)をとりつける溝が、つま先とかかとについています。
これがついてないシューズはスノーシューズであっても雪山用ではありません。
厳冬期用の雪山登山靴には、前後に溝がありますが、すこしライトなモデル(4シーズン用)には、つま先側には溝が無いものが多いです。
この溝がかかとに1つだけなのか、それとも前後に2つあるのかだけでも、その登山靴はどのくらいの雪山を想定しているのかがだいたいわかります。
厳冬期用と4シーズン登山靴
ライト系4シーズン:スポルティバ トランゴアルプ
入門者の方が雪山登山靴を選ぶ際に迷うのが、この厳冬期にも耐える登山靴にするのか、それとも2000m級の山に対応でき、春・秋シーズンまで快適に使える4シーズン(オールシーズン)モデルにするか、の部分ではないでしょうか?
「冬山」という条件に少々恐れもあり、そんな危険なところまでは「行かない」「やらない」と思う方も多いことでしょう。
しかし、それと、装備が万全なのとはちょっと違います。
それに、八ヶ岳などの3000級の山でも、厳冬期登山は比較的ビギナーから可能ですが、コンディションによっては-20℃くらいになることもあります。
初めに選ぶなら思い切って厳冬期用が楽!
多くの方は、初めの雪山だからという理由で、軽めの4シーズンのブーツを買ってしまうかもしれません。しかし、よく考えてみてください!
冬の八ヶ岳などに行く場合は、厳冬期用登山靴がベストです。
じゃあ、2足目に8万以上もするブーツを簡単にすぐ買えるのか!?
ということを。
低山だからといって、寒くないなんてことはないでしょう。スノーシューが楽しめる北八ヶ岳だって、-20℃以下になるほどの寒い時はあるのです。
なので、思い切って厳冬期用の物をそろえることをお勧めします。軽さで選びたいところですが、それよりも優先は寒さ対策。
そして、最近の厳冬期用登山靴もかなり軽量化されてずいぶん変わってきました。
大は小を兼ねる。厳冬期用1足あれば、どんな雪山でも使えるんですよ。
冬用登山靴のサイズ選びには要注意!
登山靴は少し大きめを選びますが、冬用登山靴の場合は、それよりもう少し大きめ・幅広めを選びます。
というのも、雪山登山靴は固く、足先や指の付け根が靴に当たってしまうと、そこが痛いばかりではなく血行を疎外し、凍傷になりやすくなります。
とくに低温高所ではむくみが起こりやすく、シューズのサイズは小さすぎてはだめなのです。
冬季用靴はトレッキングシューズよりも幅広いデザインが多いですが、これも靴の木型によります。まずはインソールを抜いてみて、自分の足の形に合うかどうかを目視してみてください。
そして、靴下も冬季用の極厚手(ヘビーウェイト)のものをつけて調節します。
フィッツの登山用靴下
失敗しないコツ|専門の人に相談
まずは、ショップなどに行ってみていろいろ履き比べることですが、ショップのスタッフの方でも、雪山をやっているのか?そうでないのかによってもアドバイスも様々です。
中には雪山講習やツアーをやっているお店もあるので、そんなところで実際に相談するのも手です。あと確実なのは、山岳ガイドのツアーや講習会において、本職の方に直接相談してみるのもいいですね。